https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4665/
思い描いていたフリーランスとは、かけ離れた働き方になっていると訴える人がいます。

運送会社と契約を結ぶ宅配ドライバー、米倉誠さん(仮名)。契約は、割り当てられた荷物をその日のうちに配達すること。
配る順序や、休憩をいつ取るかは自由。荷物を配り終えさえすれば帰宅できます。

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宅配ドライバー(フリーランス) 米倉誠さん(仮名)
「『フリーランス』って光って見えました。『フリー』なので。もっと時間がとれるんじゃないかと」

当初、割り当ての荷物の数は1日70個ほどで、以前会社員だった時よりも早く帰宅できていました。

ところが数か月後、会社から求められ、ある契約変更に応じてから状況が一変します。報酬を1個単位から、
1日単位の固定額に変えるという変更でした。

すると、程なくして荷物の数が急増。多い日には当初の3倍近くになりました。
米倉誠さん
「11時過ぎると、午前指定が(アプリに)色が出るんです。『優先でやりなさい』と。物量はこっちで選べないけど、
時間までに終わらせないといけない」

朝から夜遅くまで、13時間に及ぶ仕事が連日のように続いています。
取材者
「これを1日何件か運ぶだけで?」
米倉誠さん
「ぐったりですよ。本当にもう休みは寝るだけ。つらいです」

しかし、フリーランスは働く時間は自由とされるため、長時間に及んでも法律で守られることはありません。
更に、ガソリン代などの経費を差し引くと、収入は雇われている人の最低賃金を下回っています。

取材者
「会社側に抗議は?」
米倉誠さん
「盾ついたりした人間は、変なエリアをあてがわれたり、出勤日数を減らされたり、この業界『使い捨て』って
よく言うんですけれど、動かなくなったら次を補充する」

こうした米倉さんの働き方を、家族も心配しています。
米倉さん(仮名)の母親
「倒れちゃうんじゃないかって思いますよ。過労死ラインですか、それはもうはるかに超えているので。
でもフリーランスだからしかたないって済ませるのか」

以前、サービス関連会社で管理職を務めていた米倉さん。フリーランスになったのは、2人の子どもと過ごす時間を
持つためでした。しかし…。
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米倉誠さん
「一緒に住んでいると思えないぐらい、顔合わせない。この時間になると家族から(メッセージが)
『娘の成績がこれぐらいだったよ』とか。帰れば、もう寝てますし」