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 Aさんは旅行中、夜景スポットから宿へと向かう山道を下っていた。街灯もない暗闇のなか、突然目の前に大きな黒い影が。避けきれず、「ドーン」という衝撃とともに、「ピャァーッ」と甲高い鳴き声が車外に響いた。シカにぶつかったのだ

 シカは何事もなかったかのように立ち上がり、その場を去って行った。一方、Aさんの車はフロントを大きく損傷し、自走が困難な状態に。加入している損保会社のレッカーサービスを利用し、修理工場で出された見積もりは50万円を超えた。

 Aさんは車両保険に加入していたので、これを使おうとするが、損保会社から「契約しているプランでは動物との衝突は補償対象にはならない」と告げられてしまう。結果、すべて自腹での修理を余儀なくされた。

「動物との衝突事故は、保険契約上『単独事故』と同様に扱われます。Aさんの車両保険は、単独事故をカバーしない『エコノミー型』だったため、補償の対象にはなりませんでした」(SCスタッフ)

 車両保険は大きく「一般型」と「エコノミー型」に区分され、共通する補償範囲としては対車両の事故や盗難、台風や火災、飛来物・落下物による被害などが挙げられる。これらに加えて、一般型では単独事故や当て逃げなども補償範囲となるが、範囲を限定したエコノミー型ではカバーされない。

 実際のところ、「エコノミー型の車両保険は単独事故に適用されない」という条件を見て、「動物との接触」のリスクにまで気が回る者はそう多くないように思われる。しかし地域によっては、シカをはじめとする動物との衝突事故は珍しいことではない。

 北海道においては、エゾジカに関連する事故は毎年2000件ほど発生している。奈良公園の周辺も事故多発地帯であり、「一般財団法人 奈良の鹿愛護会」の発表によれば、2021年には193件の事故が起きている。

 加えて、動物との衝突は車両側のダメージも大きくなりやすい。

「シカとの衝突で全損というケースも珍しくないです。シカの方は『むくりと立ち上がり去って行った』みたいな記載が結講あるんですが、車両の方は数十万円規模の修理が必要になったり、機関にもダメージが及んで全損になったり、損害額がかなり膨らむ印象です」(SCスタッフ)

 地元民にとっては周知の事実かもしれないが、観光でシカやイノシシなどが出没する地域を訪れるケースなど、今一度車両保険の条件を見直しておくとよいかもしれない。https://news.livedoor.com/article/detail/22318584/