<インド、フィンランド、ドイツ、イギリス、アメリカ、中国、日本の女性アナウンサーの録音を聞く>

民放女性アナウンサーの声はダントツの高さ
――いや、驚きました! 本当に日本人女性の声はダントツで高いですね! 興味深いことに、同じアジア系民族である中国人女性よりもずっと高いです。
それに、日本人女性の声は“若さ”しか感じませんが、ほかの国、特にイギリス人とドイツ人女性の声からはなんとなく年齢がうかがえるような声の“成熟度”に加えて、
その女性の“個性”を感じました。

山崎「そうでしょう? ある1日の女性民放アナウンサー10名の声の周波数を計測して平均を出したら、340Hzという高さだったんです。これは真ん中のドの上のファくらい。
これは平均ですから、これよりも高いラやシも出ていて、ほぼ裏声なんですよね。本来、身長が160cmぐらいの成人女性だと、地声の平均は220〜260Hz程度が自然なんです」

――インド人女性の声もかなり高いですね。

山崎「インド人女性の声も日本人女性とほぼ同じくらいに高いですよね。興味深いことにジェンダーギャップ指数が低い(男女間で格差が大きい)国の女性の声は高いんですよ。
ジェンダーギャップ指数が高い国の女性アナウンサーの声はとても低い。北欧やドイツでは体格も大きいですから、単純に高低だけの判断は危険ですが、
年齢相応の成熟した人間としての魅力が声に出ているように思います。しかし、日本では女性の“若さ”に価値がおかれているからでしょうか、
年齢よりも幼く聞こえる高い作り声をしている方が多いように感じます。

私の生徒さんに女性アナウンサーの方がいるのですが、彼女は年齢に反して、仕事で求められる高い声を出し続けた結果、痙攣性発声障害になってしまいました。
無理して作り声で話し続けていると、脳がSOSを出すんです。『もっと自分のよい声を出していきましょう』って。ですから彼女には喉頭を自然におろして低い声で話してもらうようにしました。
すると、一緒に働く人々からだけではなく、視聴者からも大好評だったそうです。無理をした作り声ではなく、自然な本来の声で話すと自分自身が心地よく、
また聞く人にとっても心地よい声として響きます」
――興味深いですね。それはなぜでしょう?

山崎「自分の本当の声には、自分が大切にしてきた本音や個性が表れます。日本では『女性は高く可愛らしい声で話すべし』という価値観が浸透していますが、
それに屈せず、自分が出していて気持ちよいと感じられる声が、その人の本来の個性豊かな声なんです。しかし、私たちは話す“内容”にばかりとらわれていて、
自分がどんな“声”で話しているかは意識しませんよね」

――はい。それに多くの人が自分の声に違和感を覚えているのではないでしょうか? 私も取材の文字起こしをするときに自分の声を聞くのですが、自分じゃないみたいですごく嫌です。

山崎「自分が話しながら聞く自分の声は、録音とは違って聞こえます。それは頭蓋骨などを通して自分の中から聞こえてくる声と、
空気を伝わって耳から入ってくる声が混ざっているからです。録音した声は空気伝導だけなので、ちょっと薄く高めに聞こえるんですね。
加えて、自分の声に嫌悪感を抱いてしまうのは、“その声を出していたときの感情”がわかるから。録音した自分の声を聞いて違和感を覚えるのは普通ですが、
自分の声が嫌いな人はその声に自分が納得していないということなんです」


以下↓

https://news.yahoo.co.jp/articles/e079d38c3edb13ce2b3a6ff55739e25ad1c35cae