早慶上智に法政でも 私大で相次ぐ「学費値上げ発表」は妥当なのか
来年から関東・関西の有名私立大学の授業料が軒並みアップする。本当に上げる価値があるのか。親世代がついつい「自分の時代」と勘違いしやすい、大学の授業についてコラムニストのオバタカズユキ氏が考える。
当事者である受験生のあなたには、「このサイトを見ている暇があったら、英単語の1つでも2つでもいいから頭の中に詰めこみなさい」と言いたいが、その親御さんや大学関係者、大学に関心がある方々には広く知っていただいたほうがいい、ちょっと頭の痛い話がある。
日経新聞(電子版)では4日、朝日新聞(DIGITAL)では7日に報じていたけれども、来年からあちこちの私立大学が学費を値上げする。これまでも人知れずちまちま上げていた大学はあった。だが、有名どころが次々と値上げを表明、しかも物価が上がる年に、という事態はニュースだろう。受験生の保護者はさらなる出費の覚悟をしたほうがいい。
朝日新聞(DIGITAL)の記事をもとに、具体例をいくつかあげると、最も値上げの率が高く目立っているのは慶應義塾大学だ。6学部で、年間の学費を15万〜20万円増額するとしている。古い人にとっての慶応は「中小企業の社長の息子が行くボンボン大学」というイメージもあるようだが、実はこの大学には学費を抑えた学部が多く、ここ5年間ほどは値上げをしていなかった。だから、これでついにあの慶応の学費も首都圏の他の有名私大並みになってしまった、と捉えたほうがいいかもしれない。
次いで、目立つのは早稲田大学だ。これまで1、2年次から徴収していた計15万円の「基礎教育充実費」を廃止。そのかわりに、新しく「全学グローバル教育費」年間20万円を徴収。4年間で卒業したとしても80万円かかるので20万円の増額だ。また、政治経済学部の授業料は8万円アップ、他の学部の全学年で年間5万〜7万円の授業料を値上げする。
他では、上智大学が「教育充実費」を新設し年間12万円増、授業料等も文系で年間72000円、理系で10万3700円の値上げ。明治大学は、5年ぶりに授業料を文系学部で年間18万円、理系学部で30万円の値上げをする。ただし、入学金は8万円減額とのこと。あとマスコミが伝えるところでは、法政大学、中央大学、青山学院大学、成蹊大学、関西大学が、率は低めだけれども値上げを決めている。
ちなみに、これもいまひとつ認識されていない話だからつけ加えておく。国立大学の学費である。授業料は635,800円、初年度納付金は917,800 円。こと文系学部に関してなら、私大とものすごい差があるわけではない。貧乏なうちの子が頑張って国立に合格しても、けっこうなお金がなければ通えない。受験生の親が若かった頃とはまるで状況が異なることを、知っておいたほうがいい。