古着を画材にする谷敷 謙、一軒家のアトリエでアート×ファッションの秘密に迫った
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“ファッション周辺”という言い方がある。ファッションにまつわる写真、店舗建築、グラフィックデザインなどを指す。衣食住のうち食と住も、限定的にファッション周辺に含まれる。ファッション好きの人が共通して好むテイストなら、なんでもそれに該当すると言えるだろう。


なかでもアート分野はファッション周辺の重要な存在だ。各ブランドが作家とコラボしたり、ギャラリーを設けて作品展示するケースが近年増えている。ここにクローズアップする谷敷 謙(やしき・けん)も、ファッション界で大きく注目されている作家のひとり。昨年の2021年だけでもユニクロ、伊勢丹新宿店がコラボして店内に作品展示し、ワコールは所有するギャラリーで個展を開催。客層が幅広い大手アパレルや百貨店に支持されていることが、谷敷作品のグローバルな特性をよく物語っている。

モードやストリートの世界ではセンセーショナリズムに根ざすアートの力を借り、エッジーな感性をアピールするケースが多い。一方で谷敷作品は登場人物への目線が温かで、幸福感に包まれている。偉大な画家ルノワールは自身の絵画について「人生には不愉快なことが多いから、これ以上不愉快なものをつくる必要はない」と名言を残しているが、谷敷作品も“心を豊かにするアート”といえるだろう。

独特な質感の造形はどのように制作されているのだろうか。人を惹き付けるコツはどこにあるのだろうか。39歳にしてここ数年の間にブレイクした理由はなんだろうか。気になる疑問の答えを求めて、東京郊外にあるアトリエを訪ねた。