赤ちゃん、悪者にはおしおき 正義のふるまいは生まれつきか(朝日新聞デジタル)
https://news.yahoo.co.jp/articles/8895f20dd6b7ed7ee9ac4a0418e46decdf7ef4fa
https://www.asahicom.jp/imgopt/img/67643fb168/comm/AS20220610003183.jpg

ヒーローが悪に対峙(たいじ)して活躍する物語は広く人気を集めるが、実は言葉を話せない赤ちゃんも、ヒーローのように悪者を「お仕置き」する。そんな赤ちゃんの「正義感」あふれる行動を、大阪大などの研究チームが明らかにした。ヒトが正義的な行動をとるのは、生まれつきの性質かもしれないという。

発見したのは、大阪大の鹿子木(かなこぎ)康弘准教授らの研究チーム。鹿子木さんは赤ちゃんの研究を続けており、2017年には赤ちゃんが他者の行動の善悪を判断できることを発見していた。

今回の研究では、そこから一歩踏み込み、社会秩序の維持のためにヒトが他者に対してとる懲罰的な行動を、赤ちゃんもするのかどうか、東京都の生後8カ月の赤ちゃん120人の協力を得て、五つのグループに分けて調べた。

赤ちゃんは運動能力が未熟なため、視線で画面を操作できる装置を使用。第1グループの赤ちゃん24人には、映像内のキャラクターを見つめると、上から降ってきた石に押しつぶされる(罰せられる)ことを学習させた。その上で、あるキャラクターが別のキャラクターを攻撃する様子を映すと、赤ちゃんは攻撃したキャラクターに視線を注いで石を降らせ、罰を与える傾向が見られた。

しかし、攻撃するキャラクターが気になって、罰するという意識もなく単に見つめていただけなど、様々な可能性が考えられた。そこでチームは、残りのグループの赤ちゃんたちに協力してもらい、さらに検証を進めた。

例えば、降ってくる石の威力を、キャラクターが押しつぶされない(罰にならない)程度に軽くしてみると、攻撃する側と、攻撃される側に視線を向ける割合に差が生まれなくなった。最初の実験結果が偶然だった可能性も確認したが、同じ傾向が出た。やはり、赤ちゃんは罰する意図を持って悪者を見つめていたと判断した。