12年前、春の陽気に包まれた昼時。福岡県飯塚市の中村香代さん(75)の自宅前の国道で、野良犬がトラックにはねられた。外に出て拾い上げたが、後ろ足が動かない様子だった。
三女の桑野こずえさん(46)らがバスタオルで包んで抱え、近くの動物病院へ駆け込んだ。だが、手の施しようがないと断られ、別の動物病院へ。桑野さんが運転する車の後部座席で、中村さんは野良犬をひざに乗せ、「大丈夫だよ、頑張って」と声をかけ続けたが、反応はなかった。
動物病院に到着し、診察室に入った。「手術しても歩けず、立てなくなるかもしれない」と告げられた。腰の骨は砕け、両足の骨も折れていた。
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