本因坊11連覇の文裕、一夜明け「いい形で終わることができた」
https://mainichi.jp/articles/20220613/k00/00m/040/042000c
第77期本因坊決定戦七番勝負を制して歴代単独1位となる11連覇を果たした本因坊文裕(もんゆう)(33)=井山裕太九段=が、偉業達成から一夜明けた13日、宿泊先の福岡県筑紫野市内の旅館で取材に応じ、「ほっとしているところが一番。いろいろな方からお祝いのメッセージをいただいて徐々に実感が湧いている」と笑顔を見せた。
挑戦者の一力遼棋聖(25)を4勝0敗のストレートで降し、3月にタイトルを奪われた棋聖戦の悔しさも晴らした。シリーズが始まる前の取材に「囲碁ファンの皆さんが頂上決戦と見ていることは承知している。トップは戦いぶりや結果で証明していくしかない」と話していた文裕。言葉通りの強さを見せつけたが、「もつれることも覚悟していたので望外の結果」と謙虚に語った。
対局中は旅館に籠もっていたため、前夜は棋士仲間数人と外に出て祝杯を上げたという。
本因坊に加え、名人、王座、碁聖を合わせ4冠を堅持。今月24日には再び一力を挑戦者に迎えた碁聖戦の防衛戦(五番勝負)が始まり、休む暇もない。文裕は「本因坊戦をいい形で終わることができたので、気分良く向かえる。集中してやりたい」と語った。
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11連覇を決めた本因坊戦第4局は、第3局までと同様、序盤から険しい戦いが続いた。文裕の白106(6の十五)の切りに、一力は右辺で黒107から仕掛けていった。黒の大石を捨てる代わりに黒111と白石をポン抜く大きなフリカワリとなったが、その後の上辺での黒の打ち方に問題があり、文裕が着実にリードを広げて快勝した。
解説の張豊猷八段は「難しい戦いの碁だったが、形勢判断を含め、文裕の快勝だった」と総括した。【新土居仁昌】