いずれにせよ、多くの日本人の所得が低迷している最大の原因は、この国の少数の真の富裕層にあるのではなく、企業所得と家計所得の差である。企業は「内部留保」、つまり賃上げや投資、あるいは税金で経済に還元されない利益をため込んでいるのだ。

さらに悪いことに、過去数十年間、東京都は企業減税のために消費税増税を行い、家計から企業へ繰り返し所得を移転してきた。政府は1998年以降大企業に対する法人税率を大幅に引き下げ、現在は30%になっている。

経団連と経済産業省は、企業は余分な現金を使って賃金や投資を増やし、それによって1人当たりのGDPを押し上げるので、法人税減税によって誰もが恩恵を受けると主張した。事実上、政府は企業と取引をしていたのだ。もし、われわれが法人税を下げれば、企業は賃金を上げてくれるだろうと。しかし、企業がその約束を果たすことはなかった。

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