ロシアによるウクライナ侵攻で、露軍が制圧を宣言しているウクライナ南部ヘルソン州のフラニ顧問は14日、ウクライナ軍が同州の州都ヘルソンから20キロ地点付近まで前進したと発表した。一方、最激戦地となっている東部ルガンスク州の中心都市セベロドネツクについて、ウクライナ軍参謀本部は同日、「戦闘が続いている」とした上で、露軍が部隊を再編成して攻勢を強めようとしている-と発表した

ロシアは5月下旬、ヘルソン州と南部ザポロジエ州の占領地域の住民に露国籍を付与する政策を開始。実効支配の永続化を図ろうとしている。ウクライナは両州の奪還を掲げている。

ウクライナメディアによると、同国のゼレンスキー大統領は同日のビデオ声明で「ヘルソンの奪還という主要目標に向け、われわれは前進している」と述べた。また、セベロドネツクなど東部に関しては「戦況は特に変わっていない」と説明。「わが軍の損害は大きいが、持ちこたえなければならない」と述べ、戦闘を継続する考えを示した。

米シンクタンク「戦争研究所」は5月下旬、仮にセベロドネツクを制圧しても露軍は軍事的利益を得られず、同市掌握を宣言できる政治的利益しか得られない-と分析。露軍がルガンスク州での前進に注力する間に、より戦略的に重要なヘルソン州や東部ハリコフ州で反攻を進めたウクライナを「賢明だ」と評価した。

一方、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は、同国を支援する米欧諸国の会議が15日にブリュッセルで開かれるのを前に、露軍を敗北させるには155ミリ榴弾(りゅうだん)砲1000門▽多連装ロケット砲システム300基▽戦車500両-など大幅な追加支援が必要だとツイッターで表明。「(米欧の)決断を期待している」と述べた。

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