[シドニー 15日 ロイター] - 豪独立機関の公正労働委員会は15日、最低賃金を5.2%引き上げると発表した。過去16年で最も大幅な引き上げとなる。物価上昇率とほぼ同程度の引き上げ幅で、生活コストとエネルギー価格の高騰にあえぐ家計の不安を和らげるとみられる。

最低賃金は7月から時給21.38豪ドル(14.74米ドル)と、現在の20.33豪ドルから引き上げる。同委によると、200万人強の労働者が対象となる。

コムセックのシニアエコノミスト、ライアン・フェルズマン氏は「インフレが労働者の収入に影響し始め、金利が引き上げられた。食品などの必需品や電気、ガス、ガソリンなど全てのコストが上昇している」と指摘した。

今月になって最低賃金引き上げを正式提案していたアルバニージー首相は決定を「もろ手を挙げて歓迎する」とコメントした。

ANZのエコノミストはリポートで、最低賃金が引き上げられてもインフレ率は大幅に加速しているため、低所得の労働者の多くは今後の数四半期に実質賃金が減少する可能性があると指摘した。

オーストラリア準備銀行(中央銀行)は今週、年末のインフレ率が7%に達すると予想した。

オーストラリア商工会議所は、原材料価格の急騰や労働市場の需給逼迫に既に直面している企業は最低賃金引き上げにより今後1年間で約80億豪ドルのコスト増を強いられるとの見解を示した。

ゴールドマン・サックスのエコノミスト、アンドリュー・ボアク氏は最低賃金の引き上げについて、中銀が7月か8月に75ベーシスポイントの利上げを選択するリスクがあることを示していると指摘した。
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