世論調査で解き明かす、年収と政党支持の関係性

 読売新聞社は、菅氏の発言より2日前の1月25日、全国3000人の有権者を対象に郵送方式の世論調査を発送した。「格差」を主なテーマとした調査だったため、回答者の世帯年収も尋ねており、「有権者の収入と維新支持の傾向」をおおよそ捉えることが可能だ。この結果から、「低所得層」発言の妥当性を考えたい。

 まず、世論調査の対象者の世帯年収区分は、以下の通りだった。
「200万円未満」      17%
「200万~400万円未満」 31%
「400万~600万円未満」 19%
「600万~800万円未満」 12%
「800万~1000万円未満」 8%
「1000万円以上」      8%
(「答えない」5%)

また、政党の支持率は、自民34%、維新10%、立民6%などの順で、無党派層は39%だった。

 世帯年収と政党支持のクロス集計をみると、「200万円未満」の層のうち、維新を支持している人は11%いた。菅氏が所属する立民は8%だった。
 同様に「200万~400万円未満」の層は、維新10%、立民8%。
 一方、「800万~1000万円未満」の層では、維新12%、立民4%。
 「1000万円以上」の層になると維新15%に対し、立民は4%と、年収が高い層では、維新、立民の差が広がる傾向がみられた。
 いずれの年収層も、支持率トップは自民党で、35%前後いた。
 菅氏が言う「低所得者層」の定義ははっきりしない。しかし、「200万円未満」や「200万~400万円未満」を全体の中での「低年収層」と仮定すると、維新の支持層は低年収層よりも、むしろ「800万円以上」の「高年収層」のほうが厚いといえる。
 菅氏は1月27日に、「維新に共鳴したのは低所得者ではなくむしろ『勝ち組』」との指摘を受けたことも投稿しているが、こちらのほうが実態に近いようだ。