今月1日付の豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドは、ミャンマー国軍が北朝鮮の協力を得て秘密裏に原子炉とプルトニウム抽出施設を建設中で、2024年までに原子爆弾の開発を目指していると報じた。「極秘施設」はミャンマー北部の山中の地下にあるという。
記事によると、ミャンマーからの亡命者がオーストラリア国立大のデズモンド・ボール教授に、ミャンマーは北朝鮮とイランに対しイエローケーキ(ウラン鉱粗製物)を提供したと証言。また、北朝鮮は極秘の核施設を隠すことができるトンネルの建設を支援したとも明かしている。しかし一部のアナリストは、トンネルは米国の攻撃を懸念するミャンマー軍事政権が空爆時のシェルターとして建設した可能性を指摘する。
元駐ミャンマー大使でもあるオーストラリア国立大のトレバー・ウィルソン教授も、亡命者の証言は信用しかねるとして、ヘラルド紙の報道に懐疑的だ。教授は、ミャンマーが自国埋蔵のウラン資源を「イエローケーキまたは類する物質」に精製練していることを示す証拠は無いと主張。その上で、ミャンマーがウラン鉱石を通常兵器やミサイルの部品や技術と交換している可能性があると見解を示した。
かたや一部のアナリストは、ミャンマー国軍の本当の狙いは核抑止力による脅威だけではないかとの見方を示している。だがウィルソン教授は、こうした見方に対しても否定的だ。
北朝鮮は北東アジア地域で実際に米国の核の脅威に直面している一方、ミャンマーは違うからだ。「ミャンマー国軍が国防のため核兵器を持とうと考えるわけがない。現在ミャンマーが抱える内戦問題はいずれも核とは関係がなく、核の保有はそうした問題の解決には一切つながらない」と語っている。

(ロイターニュース 原文:Bill Tarrant、翻訳:植竹 知子)