労働の現場では、職業のイメージアップを狙った、用語の言い換えが行われています。職種から業務の呼び方に至るまで、
その対象は様々です。一見すると、仕事がしやすい環境作りを目指しているように思える取り組み。
しかし労働問題の専門家・今野晴貴さんは、必ずしも働き手本意の内容になっていないと指摘します。
政策にまで広がっているという、その場しのぎの「言葉のまやかし」について、語らいました。

なぜアルバイトが「クルー」「メイト」に?
「人財(人材)」など、労働にまつわる言い換え語の例を挙げれば、枚挙に暇(いとま)がありません。
筆者が最近、個人的に注目しているのが、サービス業を中心とした職種に関するものです。

例えば飲食店の中には、アルバイトスタッフを「クルー」や「メイト」と表現するところがあります。
居酒屋大手ワタミが経営し、業務委託の弁当配達員を「まごころさん」と呼ぶワタミの宅食などのケースも、類似しているように思います。

これらの職種は非正規雇用で、正社員よりも賃金が安く、雇用期間も限定されていることが少なくありません。
待遇が比較的厳しいにもかかわらず、仕事のやりがいや仲間意識を、ことさらに強調するような字面に違和感を抱いてきました。

「確かに、インパクトがある言葉ですよね。好待遇でもないのに、労働に巻き込んでいこうという明確な意図を感じます」。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7a2d04ca499c88a512dfc5de02860714cf505c62