太宰治「人間失格」が人気 韓国で100刷に=特別版出版へ

【ソウルニュース】韓国の出版社ミヌム社は14日、自社選書の「世界文学全集」から
2004年5月に発行した日本の作家、太宰治(1909~48)の小説「人間失格」が
100刷に達したことを記念し、特別版を出版すると発表した。

韓国出版業界で世界文学全集に組まれた作品が新刊出版や特別な宣伝活動なしに
根強く売れ続け、100刷を記録するのはまれなケースだ。

ミヌム社の世界文学全集は今年2月の時点で400作を超えているが、そのうち100刷を
記録した作品はJ・D・サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」、ヘルマン・ヘッセ
「デミアン」、ジョージ・オーウェル「動物農場」などわずかだ。

ミヌム社の関係者は昨年の初めごろから「人間失格」を買い求める読者が急に増えたとし、
「(新型コロナウイルスの感染拡大が始まった)20年には(アルベール・カミュの)
『ペスト』がよく売れた。

厳しい時勢に古典がよく売れるにしても『人間失格』は群を抜いて人気が高い」と話した。
編集者も理由を明快に説明できず、「ミステリー」とも言われているという。

1948年に発表された「人間失格」は太宰治の代表作の一つ。人間関係に対する
本能的な恐怖と懐疑から逃れられない若者があがき、転落していく姿を描いた。

ミヌム社は「発表から70年が過ぎた今も世界中の若者に読まれている。
現実の壁の前で立ち尽くす不安定な状況の青年たちの間で特に
深い共感を呼んでいる」とコメントした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/eb1741d0e2f93e85cb76beebfe9935db650e2d3e