去年8月、東京の小田急線の車内で乗客が切りつけられた事件や、去年10月に京王線で起きた切りつけ・放火事件、さらに、ことし1月に東京 代々木の焼き肉店で起きた立てこもり事件など、面識のない人を無差別に巻き込む事件が去年以降、全国で15件起きていることがNHKの取材で分かりました。

この10年で見ても突出していて、これまでに起きた事件の手口を模倣するケースも目立っています。

ことし1月、東京 渋谷区代々木の焼肉店で店長を人質にとって立てこもったとして逮捕・起訴され、執行猶予のついた有罪判決を受けた29歳の元被告が初めて取材に応じました。

元被告は事件のおよそ2週間前に仕事をやめて上京し、新宿区内の公園で寝泊まりしていましたが、所持金を使い果たし自暴自棄になったということです。

脅しに使ったのは段ボール製の偽物の爆弾で、事件を起こすことを決めたのは店に入る1時間ほど前だったと説明しています。

当時の心境について「人生を終わらせたいという思いがあり、立てこもっている時に説得で来た警察官には『とりあえず殺してくれ』と言った」と振り返っています。

そして「ほかの人たちもそうだと思うが、事件を起こすことについて、そこまで深く考えてない。世間で騒がれるような事件を起こして、生きていたという証しを残したいという思いがあった」などと話していました。

犯罪心理学が専門の筑波大学の原田※隆之教授は「人生に大きく絶望し、もう自分の人生を終わらせたいということが大きな動機だという点が共通している。SNSの普及で自分の境遇を他人と比べて不満を持ち、こうなったのは周りのせいだとして、社会に敵意を持つようになるのではないか。手口をまねてより重大な事件につながるおそれもあり、それぞれのケースをきちんと分析し、どういった対策が必要かを考えていく必要がある」と指摘しています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220618/k10013678061000.html