温泉施設、絶えぬ性被害 死角狙い盗撮、下着盗相次ぐ ネット掲示板で情報交換も【追跡・事件簿】(熊本日日新聞)
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温泉施設で少年に性的暴行を加えたとして、熊本東署は昨年12月、強制性交などの疑いで外国籍の男(47)を逮捕した。誰もが利用する公衆浴場で起きたとされる事件。ほかの温泉施設でも窃盗や盗撮の被害が相次いでいる。取材を進めると、温泉施設特有の死角の多さに加え、見知らぬ者同士でわいせつ行為を示し合わせるインターネット掲示板の存在も浮かび上がった。

昨年7月下旬の夕方、夏休みでにぎわう熊本市の温泉施設。外国籍の男は、友人同士で訪れていた10代の少年3人のうち2人に対し、露天風呂で下半身を触ったり、性的暴行を加えたりした疑いで逮捕された。

署によると、男と少年たちに面識はなかった。従業員が被害の相談を受け、近くの交番に通報した。男は容疑を否認しているが、1人に対する強制性交などの罪で起訴され、今年5月から公判中だ。

南小国町の旅館では、女性の下着を盗んだ疑いで、佐賀市の会社員の男が昨年2月に逮捕された。天草市の施設では、女児らを撮影したとして、人吉市の県立高の女性教諭らが昨年4月に逮捕されている。

「密室や死角の多い温泉での防犯対策は極めて難しい」。県北の温泉施設の男性経営者は頭を抱える。隣室や屋外から家族風呂にカメラを向ける行為も絶えず、いたちごっこが続いているという。対策強化のため、風呂の壁を高くし、200万円ほどかけて外側に防犯カメラを付けた。

さらに眉をひそめる状況がある。「昼から行きます」「かわいい子いるかな」。ネット掲示板には、県内の温泉施設ごとに「スレッド」と呼ばれる投稿欄が設けられ、わいせつ行為をにおわせて情報交換する書き込みが続く。

県北の男性経営者は「純粋に温泉を楽しみたいと思っている人にとって迷惑な話だ」と憤る。密室となるサウナでのわいせつ行為が多いと聞き、自分の施設にはサウナは設けないことにした。熊本市の施設では、サウナの出入り口に「不審な行為」をしないよう注意書きを掲示している。

各施設とも対策に神経をとがらせているが、被害は後を絶たない。特に性犯罪に遭ったらどうすればいいのか。県警幹部は「事件発生から時間がたつほど、客観的な証拠が消滅し、犯行の裏付けが難しくなる。記憶が鮮明なうちに、警察や性暴力被害のサポートセンターに相談してほしい」と呼びかける。(上島諒、植木泰士)