「どっちが上?」切った配管に目印なく 東電ミスで分析に支障 福島第一原発

東京電力が福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)で切断した高濃度の放射性物質で汚染した配管をずさんに扱い、事故分析につながる調査に支障が出ていることが分かった。
調査を指示した原子力規制委員会の担当者は20日の事故収束作業を検討する会合で「とても悲しい」と嘆き、東電に再発防止を求めた。

 東電は5月23日、1、2号機間にある直径30センチ、長さ135メートルの配管のうち、約12メートル分の切断撤去に成功。
配管は2011年3月の事故時に両基の原子炉にたまった汚染蒸気のベント(排気)に使われ、内部がどのように汚染されているかを調べることで事故の状況把握につながる。

 規制委事務局の原子力規制庁によると、分析に使う配管の一部(長さ約5センチ)には上下左右の位置関係を示す印が付いておらず、東電側の説明も人によって示す位置が食い違っているという。
どのような状態で現場に設置されていたかが分からないため、正確な分析が難しくなった。

 20日の会合で、規制庁の担当者は「サンプルの意味がない。どこから取ったか分からないというのは、とてもさみしくて悲しい」と述べた。
東電の担当者は「今後は、配管自体にペイントできないか検討する」と釈明した。

 配管は計135メートルで26分割して撤去する。10日に2本目の切断作業が始まったが、切断器具が配管に食い込み動かなくなるなど不具合が続き中断。東電は手法を再検討している。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/184797
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