1日、安全保障上重要な施設周辺や国境離島を対象とする「土地利用規制法」が一部施行された。松野博一官房長官は会見で、「土地利用の管理は長年議論されてきた。法律は課題解決に資する意義深いものだ」と強調したが、果たして胸を張るほどの「成果」だろうか。

先週の数日間、筆者は北海道内の各地を訪れた。外国資本、とりわけ中国系資本によって大規模に買収された土地の取材である。

筆者がこの件の取材を始めてすでに13年目になる。長年、雑誌・新聞などの活字、地上波テレビ、ラジオ、ネットメディアで繰り返し警鐘を鳴らしたが、抜本的対策となる法整備はほとんどなされなかった。その「不作為」ぶりからすれば、兎にも角にも最初の一歩を記した「土地利用規制法」制定は少々の成果かもしれない。しかし、北海道の現状を見ると焼け石に水の感が強い。

旭川市の郊外に「カムイスキーリンクス」というスキー場がある。都市近郊にもかかわらず良質のパウダースノーが楽しめることで、スキー場は有名だが、その同じ山の高い位置に自衛隊の電波塔があることは日本人の大半が知らない。

その施設から約1キロ強離れたところの山林約3万8000平米が、2016年、道内の中国系企業に買収されている。

20年、ネット番組でご一緒した元自衛隊海将・伊藤俊幸氏にこの情報を伝えると、伊藤氏は「電波塔が破壊されたら、自衛隊の指揮系統が切断される」と言って、顔色を変えた。

https://www.zakzak.co.jp/article/20220603-6H3I6IO4BVL2BA2J3QE3N7HBYY/