高校生の日常は、安楽椅子に座っていたら解決できない…「小説推理新人賞」受賞作収録のミステリー×青春群像劇

 高校時代は、毎日どうしていいのか分からない感情に振り回され続けていたように思う。
周囲に感じるライバル心や劣等感、羞恥心。その一方で湧き上がる自尊心や自己顕示欲。
処理しようのない感情に支配され、グチャグチャになった自分を持て余していた。

 そんな高校生たちの群像劇が『その意図は見えなくて』(藤つかさ/双葉社)。
選考委員、大倉崇裕さん・長岡弘樹さん・湊かなえさんの満場一致で
第42回小説推理新人賞(2020年)に選ばれた表題作(「見えない意図」を改題)を収録する短編集だ。
読めば、まるで高校時代の感情が蘇るかのよう。
まだ何者でもないことの不安や希望を感じながら、日常の謎、
人間関係の問題に向き合っていく高校生たちの姿にどうしようもなく心揺さぶられる。

https://ddnavi.com/review/1001173/a/