国益よりも役所の論理を重視したとすれば、危機をはらんでいると言わざるを得ない。政府が17日に閣議で承認した防衛省の島田和久事務次官を退任させ、後任に鈴木敦夫防衛装備庁長官を充てる人事のことだ。

島田氏は自民党の安倍晋三元首相の首相秘書官を約6年半務め、防衛費の国内総生産(GDP)比2%を求める旗振り役だった。
ロシアのウクライナ侵攻や中国によって緊迫感が強まっている台湾情勢など、日本の安全保障環境が厳しさを増す中、国家安全保障戦略など戦略3文書の改定作業が行われる年末まで留任が既定路線とみられていた。岸信夫防衛相や安倍氏は続投を希望した。

しかし、岸氏の続投打診に対し、首相官邸側は就任2年での交代は慣例だとして受け入れなかった。安倍氏は松野博一官房長官に不満をぶつけたが「全部2年で交代させる」とだけ説明があった。首相に直談判しても「決まっている」と返ってきた。

【政論】国益より慣例なら政治は不要 防衛次官人事 官邸は官僚の追認機関? https://www.sankei.com/article/20220620-G5PYKMBUFVMJJPMYXR5PPKNCHM/