西山隆行
成蹊大学法学部政治学科教授

1973年に出されたロウ判決を覆す歴史的な判決です。これによって女性が
人工妊娠中絶を行うことが完全にできなくなるわけではありません。
中絶を容認するかどうかの判断が州政府に委ねられたのが本判決の趣旨でもあるため、
中絶を容認する州に行けば中絶を行う事は論理的には可能です。最高裁の保守化を反映する判決であると同時に、
連邦政府よりも州政府の権限を重視しようとする試みの勝利でもあります。
経済的余裕があり、家族等の理解があるなどして州外や外国(日本など)で中絶手術を行うことが可能な人々はその選択肢を選ぶでしょう。
しかし、それが何らかの理由(経済的、家族や地域住民からの圧力など)によって困難な人々は、中絶を断念するか、
闇医者の利用等危険な方法で中絶を行う危険性が高くなるといえます。論争的な判決であるのは当然だと言えるでしょう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/66216952f5df44cfc655971603a7df85bccb17fd