ご飯「大盛り」やめた社員食堂、拡大する「健康経営」…企業の株価も堅調に
豊田合成の春日工場(愛知県清須市)は昨年10月、社員食堂で、ご飯の大盛り(360グラム)をやめた。野菜たっぷりの定食もメニューに加えた。
いずれも従業員に栄養バランスを考えるきっかけとしてもらうためだったが、評判は上々だ。健康推進室の祖父江まゆみ室長は「『カロリー制限』より『健康』を意識したメニューの方が受け入れられた」と話す。
健康経営では、ITを活用して意識改革を進めるケースが多い。中部電力は、事業会社を含む1万4000人の従業員に、歩数や消費カロリーなどが測定できる腕時計のようなウェアラブル端末を配った。建築関連の職人が加盟する「岐阜県建設国民健康保険組合」は、栄養管理アプリでメニューやカロリーを記録するよう呼びかけている。
ブラザー工業は、主力商品をモチーフにしたオリジナル体操の動画配信を始めた。ミシンで布を縫う、プリンターのふたを開ける、といった動作が元になっており、佐々木一郎社長も出演する力の入れようだ。
・国も後押し
健康経営が注目されているのは、従業員の健康状態がよくなれば、働く意欲が高まり、欠勤率や離職率も低くなるといったメリットが見込めるためだ。ブランド力の強化や人材の採用力が上がるとの期待もある。
米ジョンソン・エンド・ジョンソンの幹部は2011年、健康投資1ドルに対し、3ドルの収益があったとする試算を公表している。健康な従業員が増え、医療費が減る効果があるほか、健康経営に力を入れる企業は、長期的にみると、株価も堅調だという。
国などは健康経営を後押ししており、経済産業省と東京証券取引所は14年度から長期的な視点で取り組んでいる上場企業を「健康経営銘柄」に認定している。投資家に魅力ある銘柄として知ってもらうのが狙いで、今年3月に選ばれた50社には、東海地方から豊田合成、愛知銀行、JR東海、日本特殊陶業、豊田通商が入った。
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