バイデン米大統領は24日、連邦最高裁が州による人工妊娠中絶禁止を容認したことを受けて、ホワイトハウスで演説した。「最高裁は国民から憲法上の(中絶を選ぶ)権利を奪った。裁判所と国家にとって悲しい日だ」と判決を批判。「大統領の権限では中絶を選ぶ権利を取り戻すことはできない。連邦議会で法律を可決する必要がある」と指摘し、11月の上下両院選(中間選挙)で与党・民主党に多い中絶容認派に投票するよう呼びかけた。

 バイデン氏は演説で、判決は「最高裁による悲劇的な誤りだ」と批判。共和党の歴代大統領が指名した保守派の判事5人の多数意見で24日の判決が出たことについて、「トランプ前大統領が指名した3人の判事が、女性の基本的な権利をなくす判断の中心になった。今回の判断は、憲法判断を覆すための数十年間にわたる周到な試みの結果だ」と主張した。

 一方、バイデン氏は中絶容認派の抗議活動が活発化することを念頭に「今回の判決をどれだけ懸念していようとも、抗議活動は平和的にしてほしい。脅迫や暴力は決して受け入れられない」と暴力の自制を呼びかけた。

 今回の判決を巡っては、今年5月に憲法判断を覆す判決の原案がメディアで報じられた後、保守派の判事の自宅周辺で抗議活動が活発化。保守派判事を襲うために銃器を所持していた男が、判事の自宅周辺で拘束される事件も起きていた。

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