摂南経済研究 第2巻 第1・2号 (2012),37−54ページ

スウェーデンの税における“負担と受益の見える化”

>たとえば、「失業率 回復への道」(2004年7月3日、NHK)のなかで、
>解雇された元・コンピュータ技術者が再就職のため職業安定所から
>100万円もの授業料を出してもらい、民間の最先端のプログラミング講座に
>出席し能力をフレッシュアップしている場面で、
>「失業したとき、アメリカのように税金の安い国では自分でお金を
>出さなければならないが、スウェーデンでは国が出してくれ、
>安心して能力向上を図れる」と言っていた

>この地方所得税はコミューン税とランスティング税を合わせたもので、
>2008年の平均税率は31.44%である。段階状の基礎控除と勤労所得控除などが
>認められているため、すべての勤労者にこの平均税率が適用されているわけではない。
>(中略)この地方所得税の上に 2段階(20%と25%)の国所得税が上乗せされている。
>この国所得税だけが所得税での累進課税である。
>なお、国所得税20%を納付した人は20歳以上で19%、国所得税25%を納付した人は5%である
>(Skatteverket, 2010, s.75)。この数字を逆読みすると、20歳以上の76%の人は
>地方所得税のみ納付しているか、税をまったく納付していないかになる。

>付加価値税(mervärdesskatt)は意外に少なく、全税収の20.8%しかない。
>日本では福祉国家スウェーデンの財源を説明するとき、しばしば消費税25%の国
>スウェーデンといった紹介がなされる。しかし、表2をみれば、
>それが誤りであることは明らかだ。全税収の2割しかない付加価値税が
>福祉国家の基幹税であるはずがない。