「身体を変えて、戸籍を変えて、男性として人と関わって、君付けで呼ばれて、男性に男性として関わられるのが、ものすごく違和感だった。それがしたかったはずだけど。本当にお恥ずかしい話だが…」

長年の違和感が「男性になる」ことで解消されるものではなかったと気づいたヒカリさんは、女装をして生活するようになった。そしてついに、再度の性別変更に踏み切る。

 ただ、戸籍上の性別は女性に戻すことができても、元に戻すことができないこともある。現行法では、戸籍上の性別を女性から男性に変える際には、2人以上の医師が「性同一性障害」と診断すること、20歳以上であること、婚姻していないこと、現に未成年の子がいないこと、生殖不能:生殖腺がないこと、性器に係る部分に近似する外観を備えていることの5つが条件となっている。(性同一性障害特例法)

 そのため、子宮や卵巣などを摘出する、いわゆる「性別適合手術」を受けることが必須であり、戸籍上の性別を男性に変更していたヒカリさんも、もう子どもを産める体ではないのだ。「私の性指向は“男性のみ”。だから男性のパートナーができても、“この方の子どもは産んであげられない”」。

 それだけではない。トラブルを回避するため、様々なことに気をつけながら、生活を送らなければならない。例えば男性ホルモンを投与していたため、声が低いのだ。「この声を女性トイレで出すと、“あれ?男の人かな?”と振り向きたくなってしまうと思う。それは申し訳ないので、トイレでは声を出さないようにしている」。
https://times.abema.tv/articles/-/8629191