ロシアによるウクライナ侵攻で、原油をはじめ資源価格が高騰。ビール缶などの原材料であるアルミ価格も値上がりする中、勝手に空き缶が持ち去られるケースが増えているという。

 現在、アルミの空き缶の買い取り価格は1キロ当たり220〜240円ほど。

「1年前に比べて2倍近く上がっています」(金属リサイクル業者)

 路上で生活するホームレスの人たちが生活の糧にしていることが多かった空き缶収集だが、この値上がりによって増えているのが、「一般人」の参入だという。

 早朝になると自販機のある住宅街などでよく耳にする〈ガラガラガラ〉〈バリ、バリバリ〉という集めた空き缶を潰す音。

 東京23区で路上生活者が最も多く暮らす新宿区でも、空き缶収集の際に出る騒音への苦情が寄せられているが……。

「近ごろ空き缶を勝手に集めているケースが増えていますが、ほとんどはホームレスではない人たちによるものだと分かっています」(新宿区生活福祉課)

 そもそも、新宿では路上生活者の数が減少傾向にあるという。

「巡回相談によっておおよその人数を把握していますが、自立支援の強化で15年前に比べて人数は10分の1以下まで減っています」(新宿区生活福祉課)

 実際、業者に空き缶を持ち込むのは、普通の身なりの人が多いという。

「バラ(潰していない状態)のままより、ブロックにしたほうが買い取りが20〜30円高くなるので、きちんと潰した状態にして、軽トラで大量に持ち込まれます」(前出の金属リサイクル業者)

 なかには、ホームレスがせっかく集めた空き缶を持ち去る不届き者もおり、一部の自治体で禁止されている、ゴミ集積所などから勝手に空き缶を持ち出すケースもあるという。アルミ価格の高騰で、これまでに見られなかった層が、空き缶収集に引き寄せられているようだ。https://news.yahoo.co.jp/articles/a2ac39cc1ad187c23f6acfbe9ecc1506c7c10263