https://news.yahoo.co.jp/articles/7f5f9fca37b0e4f3a35981e10796a3c49e40a133

自動車「任意保険」未加入はなんと10%! 自賠責の代わりに「義務化するべき」は暴論か、それとも真実か

10台に1台は任意保険未加入
この国の自動車は10台に1台の確率で、任意保険(自動車共済含む)に入っていない。筆者(日野百草、ノンフィクション作家)は恐ろしい数だと思う。「たった10%」とは思えない。
本稿では任意保険に入っていない車を便宜上「未加入車」とするが、こうした未加入車との遭遇率は「たった10%」ではなく、「10%も」と考えるべきだろう。任意保険に入らないユーザーが10%もいる現実、ちなみにバイク(原付除く)に至っては2台に1台、約50%が任意保険に入っていない。
原付に至っては約70%も未加入だが、こちらはファミリーバイク特約分も入れればもう少し下がるだろう。ともあれ、そもそも車だバイクだ関係なく、任意保険未加入で乗るなど想像するだけでも恐ろしい。
「もし加害者になったら」を考える
損害保険料率算出機構が2022年4月に発表した2021年度「自動車保険の概況」(概況)によると、10台に1台が未加入車という結果となった。対人、対物を合わせた普及率(自動車共済除く)を都道府県別に見ると大阪府が一番高く、次いで愛知県、神奈川県、京都府、千葉県と並ぶ。
ワーストは下から
・沖縄県
・島根県
・高知県
・宮崎県
・秋田県
である。
共済分を足せば多少の順位変動はあるだろうが、いずれにせよ任意保険に加入していない車が公道を走っている、という現実がある。人口の少ない県がワーストに並ぶが、交通事情関係なく任意保険には入っておくべきだろう。
法人の商用車などはあえて未加入という場合もある。保険料が高くなるため、事故ごとに弁護士を通して、法人として交渉したほうがいいという判断だ。賠償能力があればそれはまさしく「任意」である。
これは個人にも言える話で、高級外車にぶつかろうと商店に突っ込もうと、あるいは人身事故を起こしてそれが死亡、後遺障害になろうと、ポケットマネーで解決できるユーザーなら任意保険に入る、入らないは自由である。
しかし大多数の個人ユーザーはそうではない。もし交通事故加害者として高級外車に後ろから衝突してしまったら、商店に誤って突っ込んでしまったら、人身事故加害者として他人に危害を加えてしまったら、その賠償は大変な金額になる。
保険会社が動けないケースもある
概況には人身事故の高額賠償判決例として、
・41歳開業医の死亡事故:5億2853万円
・30歳公務員の後遺障害:4億5381万円
など挙げられている。
対物(物件事故)でも積み荷の賠償が2億6135万円、パチンコ店への賠償が1億3450万円と、ほとんどのユーザーにとってポケットマネーで解決できるような額ではないだろう。にもかかわらず、10台に1台が任意保険に未加入のまま公道を走っている。
もっとも、逆に考えれば10台中9台は任意保険に入っている。筆者はもちろん、本稿の読者のほとんどはそうに違いない。であるなら、逆に未加入の車からいかに自身を守るかという話になる。
交通事故の加害者が未加入の場合、泣き寝入りかそれに近い状態になるケースは少なくない。お互いに過失割合が発生する「過失相殺」なら保険会社は動いてくれるが、10対0で未加入車側に100%の責任があると判断された場合は原則、保険会社は動けない。過失がない側の示談交渉は
「法律上できない」
のだ。
やはり最低限の防衛策として、任意保険には弁護士費用特約はもちろん、
「無保険車傷害特約」
も付帯するべきだろう。常識的なユーザーからすれば「何を当たり前な」かもしれないが、本当にその「当たり前」が通用しない人が存在するのだ。
現に10台に1台は任意保険に入っていない。先に触れた商用車の一部を鑑みても、そうした非常識なユーザーが公道に存在する。
車検切れの自動車は1000台に1台
さらに恐ろしい話をするなら、この国には任意保険の未加入どころか、自動車損害賠償責任保険(自賠責)にも入っていない「無保険車」が走っている。
国土交通省が2019年に発表した「車検切れ運行車両対策の実施結果」によれば、2018年9月から2019年3月までに35都道府県で調査した結果、
「3万7403台中、43台が車検切れ(0.11%)」
つまり自賠責に入っていなかったと考えられる。
この調査は「可搬式ナンバー自動読取装置」を用いたもので、ナンバーを返納しないままの保管車や在庫、部品取り車の類いは入っていない。純然たる公道走行車両に対する補足調査である。