暑さで倒れる沖縄の高校生 「勉強に集中できない」SNSで訴え

予算削減でクーラーの稼働条件が厳しくなり、暑さが原因で意識を失って倒れる生徒もいる-。
ある県立高校で生徒会長を務めた男子生徒が今月中旬、自身のSNSで悲痛な思いを発信し、
県内の同世代に学校の空調環境に関するアンケートを呼びかけた。

一体どういうことなのか。高校生のSOSを受け止め、背景を取材した。
アンケートには県内高校生から961件の回答(28日現在)があり、「体育の後は熱中症に
なりかけて体調が悪くなる」「汗で下着が透けて非常に不愉快」など、切実な思いが
寄せられている。

県教育委員会が2016年に県立学校へ通知したクーラーの稼働方針は
(1)室温27度以下では原則運転しない
(2)光熱水費の予算が超過しないよう教職員・生徒一体となって節減すること-と定める。

アンケートを企画した男子高校生は「教室にはマスクを着けた生徒40人がいる。
特に湿度が高い梅雨時期はクーラーをつけても暑く、先生が『みんなで一緒に我慢しよう』
と呼びかける状態だった」と説明。暑さで勉強に集中できない状況を打ち明ける。

アンケートには自由記述で、暑さなどを訴える800件の声が寄せられる。取材を進めると、
新型コロナウイルスの影響、光熱水費の予算減、電気代の高騰など、学校環境を取り
巻くさまざまな要因が浮かび上がった。

■室温28度で稼働
教室が暑い―。生徒が声を上げた背景には新型コロナウイルスの影響が大きい。
県立高校では新型コロナの流行以来、授業中のマスク着用に加え、感染を防ぐために
窓を開けて換気をしている。梅雨の時期は気温が低くても湿気で蒸し暑い状態なのに、
クーラーがつかない日もあった。

南部地域の高校に通う学生は「汗や湿気でマスクが肌に張り付いて勉強に集中できない」
と訴える。アンケートに寄せられた意見では「むしむししている」「(稼働基準外の)
27度以下でも暑過ぎる。湿度が高かったらなおさら」などの声もあった。

■増えぬ光熱予算 電気代は高騰
クーラーは各学校に振り分けられた光熱水費の範囲内で、事務長が稼働を判断する。
稼働は「室温」28度以上が原則。湿度なども考慮するが、生徒の悲痛な思いは
届かずクーラーがつかないこともある。

沖縄国際大学の三村和則教授(教育方法学)
今回の学生アンケートでは、国や県がクーラー稼働の基準として示す「28度」が
本当に適切な温度なのかを、学生自身が問題提起したところが評価できる。

教室のロケーションによっても、体感温度は変わってくる。稼働基準と併せて、
生徒の声もしっかり聞いた上で、臨機応変に稼働を判断することが重要だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/830d5c0b7b7c8f47ad817b64aefd801d054a9292