福岡市博多区のビル解体工事現場で2021年9月、男性作業員ら3人が一酸化炭素(CO)中毒により死傷した事故で、福岡県警は5日、適切な安全管理を怠ったとして、解体業者「九州ゼット」(同市東区)の現場管理者だった男性社員(41)を業務上過失致死傷容疑で書類送検した。県警によると、容疑を認めている。
事故は21年9月13日午後4時半ごろ、同市博多区博多駅東3のビル解体工事現場の地下で起きた。作業中に粉じんが飛散するのを防ぐため、高圧洗浄機3台を地下駐車場に設置して散水していたが、うち1台が故障。この社員の指示で駐車場に向かった作業員ら3人がCO中毒を発症し、渡辺孝憲さん(当時70歳)=同市博多区美野島=が死亡。20代と70代の男性2人も数日間入院した。
高圧洗浄機は稼働時にCOを排出するため、換気の不十分な密室などで使用しないよう厚生労働省の指針に定められている。県警は詳しい送検理由を明らかにしていないが、男性社員が現場管理者として指針通りに洗浄機を屋外などに設置していれば、事故を防げたと判断したとみられる。
福岡中央労働基準監督署も5日、換気が不十分な場所で高圧洗浄機を使ったとして、この社員と法人としての九州ゼットを労働安全衛生法違反容疑で書類送検した。【佐藤緑平】
https://mainichi.jp/articles/20220705/k00/00m/040/142000c