日本の研究を見ると、次の3つの結果が得られています(*6)。

1つ目は、「管理職に昇進しても幸福度は上昇しない」というものです。この結果は男女両方に共通しており、昇進1年前から昇進3年後時点まで幸福度の増加傾向は確認できませんでした。

「管理職に昇進することが幸せにつながる」という明確なエビデンスはなかったのです。

2つ目は、男女とも管理職で働くことで年収が増加したのですが、所得に対する満足度は上昇していませんでした。年収は増えたけど、満足していない。これは、管理職で働くことの金銭的な報酬が十分ではない可能性を示しています。

また、管理職で働く女性のみの場合で、余暇時間満足度と仕事満足度が低下していました。この結果は、管理職で働く負担が女性で特に大きい可能性を示唆しています。

3つ目は、女性では管理職に昇進した2年後、男性では管理職に昇進した1~3年後に自己評価による健康度が悪化していました(図表1)。

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以上の結果をまとめると、「日本では管理職に昇進しても幸福度は上昇しないし、健康状態は悪化する」と言えるでしょう。

https://president.jp/articles/-/59231?page=3