ロシアの目標、あくまで「ウクライナの非ナチ化」…軍事作戦さらに長期化か

 【キーウ=安田信介】ロシアのプーチン大統領の最側近とされるニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記は5日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権の転覆を意味する「非ナチ化」など侵略開始時に掲げた目標の達成を目指す方針を強調した。タス通信が伝えた。露軍はドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)の制圧を侵略の戦果とするとみられていたが、軍事作戦のさらなる長期化を示唆した可能性がある。
 パトルシェフ氏は、露極東で開いた安全保障に関する会合で発言した。また、セルゲイ・ショイグ露国防相も5日、軍幹部らとの会議で同様に、この目標が達成されるまでは「特殊軍事作戦」は継続するとの立場を明言した。
 米政策研究機関「戦争研究所」は5日、パトルシェフ氏の発言を受け、「プーチン政権が、ドンバス地方を超えた領土を切望している」との分析を示した。「非ナチ化」のほか、ウクライナ軍の非武装化を狙っているとされる「非軍事化」といったロシア側が改めて明示した目標は「ウクライナ軍の完全な敗北と、ゼレンスキー政権の降伏によってのみ可能となる」とも指摘されているという。

 露下院は今月に入り、政府が企業に対し、露軍や治安機関への物資やサービスの提供を要求することを可能にする法案の審議を進めている。また、労働法を改正し、軍需関連産業を念頭に置いたとみられる特定企業で残業や休日出勤などを指示する権限を政府に付与する法案も審議中だ。ウクライナ侵略の長期化を見据え、武器生産も含め官民で軍を支える事実上の「総動員令」との見方も出ている。

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