「不必要に下半身を舐められて『どう、ここは感じるの?』って聞かれるんです。私が知りたいのは、お客様を“どう感じさせるのか”なのに…」

 憔悴した表情で自身の受けた性被害を語るのは、関西の中堅ソープランドに在籍するAさんだ。

 今、夜の世界では地殻変動が起きている。

「コロナ禍の影響で、事務員や飲食店スタッフなど、非正規雇用の女性たちが職を失っています。彼女たちの一部は、未経験でも収入が得られる風俗業界に流れてきました。今、風俗業界には“新人”が溢れています」(風俗ライター)

 Aさんも似た境遇だ。昼は事務のアルバイト、夜はデリヘル嬢として働いていたが、コロナ禍のあおりを受けて、アルバイトをクビになった。そこで、デリヘルとは違いホテルへの移動時間もなく、人気嬢となれば短時間で稼ぐことができるソープ嬢へと転身することにしたのだという。

「入店した際に、ソープランドではどんなサービスをするのか、お店のスタッフから口頭で教わりました。でも数カ月たち、お客様を本当に喜ばせることができているか不安になったんです」(Aさん)

 通常、ソープランドではデビューする前に、みっちり指導を受けることになっている。

「“風俗の王様”といわれるソープランドでは、マットとローションを使用する“マットプレイ”など、ほかの風俗に比べて特殊な技術が必要です。小規模なお店の場合は、同僚の女性からレクチャーしてもらえますし、有名チェーンなどには、専属の“女性講師”がいる場合もあります。ただ、現在は新人が増えすぎたせいで対応が間に合わず、店の教育がおざなりになっているようです」(前出・ライター)

 そこでAさんは、関西の超高級ソープランドに在籍する自称“カリスマ”のソープ嬢X(20代)の講習を自腹で受けることにした。

「SNSで偶然Xのことを知りました。120分で12万円という金額にもかかわらず客の指名が途切れないそうで、SNSでは“伝道師”を名乗り、独自に開発した“技”がたくさんあると宣伝していました。客と同じ金額を払えば講習を受けられるというんです」

 そこでAさんは、240分の枠を買い、24万円を支払ったという。だが冒頭のとおり、その講習は免許皆伝でもなんでもなく、Xの欲望の捌け口にされただけのものだった。

「思い返せば、事前に渡されたアンケートに『あなたの性感帯』など、おかしな質問もあったんです。でも、相手は超人気のカリスマ嬢。なんの疑問も抱きませんでした」

 客の出迎え方や服を脱がす作法などの講習が終わり、“悪夢の時間”が始まった。

「マットに寝そべるように指示され、その上に覆い被さられました。そして執拗に体じゅうをさわったり、舐められたりしました。明らかに私を性的な対象にした行為でした。結局、まともな“技”は教えてもらえませんでした」

 その後、周囲に相談したところ、Xによる“ニセ実技講習”の被害者は多くいるが、ソープ嬢の間で尊敬を集めるXだけに“生徒”は泣き寝入りするしかなかったという。

https://news.yahoo.co.jp/articles/cc80369cb81fbce2f58eec9e5d64792d2c3a4d0b