国政選挙で、投票終了時間を法定の午後8時より前に繰り上げる投票所が増えている。市町村が選任する投票立会人の負担軽減や、職員の時間外手当削減などが狙いだ。
今回の参院選でも全国の投票所の37・3%が繰り上げを予定し、15年前より約9ポイント増えている。ただ、専門家からは「安易な繰り上げは、有権者の投票機会を奪いかねない」との指摘もある。

千葉県館山市は今回の参院選で初めて繰り上げを行い、午後6時に全21投票所を閉める。昨秋の衆院選では投票者約2万人のうち期日前投票が約41%を占めた。当日の午後6時までに投票した人が約54%で、午後6時以降は約4%だった。

 繰り上げにより、投票立会人の負担は軽減される。山間部の畑地区で立会人を務めてきた男性(72)は「多くの有権者は午前中に来るので、夜はやることがない。疲れる座り仕事が早く終わるのはありがたい」と歓迎する。

 島根県益田市も、全50投票所のうち山間部の7か所を午後4時に閉める。担当者は「期日前投票が定着し、当日夜に訪れる人はほとんどいない」と説明する。

 投票時間の繰り上げで、職員も夜の業務が短くなるため、時間外手当を削減できる。館山市選挙管理委員会は、昨秋の衆院選で実施した場合、約92万円の削減効果があったと試算する。

 投票時間は公職選挙法で午前7時から午後8時までと定められているが、「投票に支障をきたさない特別の事情」があれば、市町村選管の判断で4時間まで繰り上げることが可能だ。

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