安倍元首相銃撃事件を考える
毎日新聞 2022/7/12 東京夕刊

今、政界で一番の有名人は安倍晋三元首相です。「安倍さんの政治信条に
恨みはなかった」ということですが、大物政治家を狙ったテロであると
私は見ています。民主主義の力、すなわち国民の力で、こうした蛮行が
歴史をゆがめることがないようにしなければいけません。

 なぜこのような凶行を起こす人物が登場したのか。容疑者の供述とは
別に、シンボリックな社会現象として事件の背景を考えなければいけない。
今は新自由主義が浸透し、競争に勝った人間が幸せになり、負けた人間が
不幸になるのはやむを得ないと考える「絶望社会」になっています。
将来に希望を持てない格差貧困社会の一つの傾向として、自ら死のうと
思う時に他人を巻き込もうとか、生活が苦しいから犯罪を起こして
刑務所に入ろうとか、そんな事件が頻発しています。
この容疑者も社会に絶望し、犯行を起こした側面が
あるのではないでしょうか。


https://mainichi.jp/articles/20220712/dde/012/010/013000c