【キーウ=共同】ウクライナ南部にある欧州最大級のザポロジエ原発を占領中のロシア軍が軍事基地化していることが11日までに分かった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が伝えた。原発を基地化することで、ウクライナ側の反攻を困難にする狙いがあるとみられる。
ザポロジエ原発は3月以降、ロシア軍の占領下にある。ドニエプル川沿いに位置し、対岸のニコポリからウクライナ側が監視している。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ロシア兵約500人は原発の周囲にりゅう弾砲など重火器を配備、対人地雷を敷設しているという。欧州連合(EU)当局者は同紙に対し、軍事基地化することで「ウクライナ軍が反撃してこないことを理解している」と話した。
ウクライナ政府によると、ザポロジエ原発には原子炉6基がある。ロシア軍が制圧した3月4日時点で5基が稼働停止や冷却中で、1基のみ稼働していた。
ロシア軍はウクライナに侵攻した2月24日に国境近くの北部チェルノブイリ原発も一時制圧。その際に原発を砲撃し、大事故を起こしかねないとして国際社会から強い非難を浴びた。
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