宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」科学観測で取得された画像の1つが公開された!
https://i.imgur.com/EtbI7dI.jpg

こちらは南天の「とびうお座」の方向約42億4000万光年先にある銀河団「SMACS 0723-73」です。6種類のフィルターを介して取得された赤外線画像に、赤・オレンジ・緑・青の4色を擬似的に割り当てることで作成されています。

無数の星々やガスなどの集合体である銀河が数百~数千も集まっている銀河団は、その途方もない質量によって時空間を歪め、地球から見て銀河団の奥にある天体から発せられた光の進行方向を変化させる「重力レンズ」効果をもたらします。
この画像にも、重力レンズ効果によって細長く引き伸ばされたり歪められたりした銀河の像が数多く捉えられています。

この画像は、アメリカ航空宇宙局(NASA)・欧州宇宙機関(ESA)・カナダ宇宙庁(CSA)の新型宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」の科学観測で初めて取得された高解像度画像の1つです。
日本時間2022年7月12日朝に開催された公開イベントの席上で、アメリカのジョー・バイデン大統領によって発表されました。

ウェッブ宇宙望遠鏡初のディープ・フィールド(Webb’s First Deep Field)とも呼ばれているSMACS 0723-73の画像取得には、ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ「NIRCam」が使われました。

NASAによると、写っているのは地球上で伸ばした腕の指先にある砂粒と同じくらいの大きさに見える範囲(幅約2.4分角)ですが、これまで赤外線で捉えられたことがないほど暗いものを含む、何千もの銀河が視野に捉えられているといいます。
NASAのビル・ネルソン長官によれば、画像には130億光年以上先にある天体も含まれているようです。

ウェッブ宇宙望遠鏡は画像の取得に合計12.5時間を費やすことで、赤外線において「ハッブル」宇宙望遠鏡よりも“深い”(暗い天体も写っている)画像を取得することができたといいます。
なお、ハッブル宇宙望遠鏡が同様の深い画像を取得した際に費やされた期間は、数週間とされています。

重力レンズ効果を受けた天体の像は歪むだけでなく拡大されることもあるため、重力レンズは遠方の天体を観測するための「天然の望遠鏡」として利用されています。
ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えた銀河についても、その質量・年齢・歴史・組成といった詳細な性質を探る研究が進められることでしょう。

なお、日本時間2022年7月12日23時30分からは、ウェッブ宇宙望遠鏡が取得した以下の4つの天体に関する画像やデータも公開される予定です。こちらも発表が楽しみです!
https://sorae.info/astronomy/20220712-jwst-smacs0723-73.html