(前略)
むしろ、コンサル会社の管理体制が甘ければ甘いほど、競合他社の情報を手に入れやすくはなるので、ライバルが手強い企業にとっては好都合だろう。もちろん、その逆に自社の重要な情報を競合他社に流出されてしまう恐れもあるのだが、仮に日本の企業がライバル会社の情報を手に入れたとしても、それでライバル会社を蹴落とすことは難しいそうだ。
「今回の一件のように、イオンの事業計画書がセブンに渡ったとしても、イオンの業績が下がるとは考えづらい。なぜなら、そもそも日本企業にとって事業計画書はさほど重要な位置を占めておらず、企業経営において活かしきれていないのが現状だからです。
反対に、アメリカのような成果主義の国だと、社員のクビを切ってまで事業計画を達成させようとします。また、たとえば半導体メーカーの世界トップ5社レベルの争いでは、ひとつの情報がきっかけで何千億円という規模で投資合戦が始まる可能性もあります。
ですが日本企業の、ましてや小売業者にそこまでの経営能力があるのかといわれると、はなはだ疑問ですね。要職に就く中年社員のクビも切れず、株主配当に回すべきお金を従業員に支払っている日本企業には、健全に成長する機会など訪れません。要するに、日本は実にレベルの低いマーケットになってしまっているんです。
そう考えると、結局はコンサルだけではなく、日本社会全体の問題であるといえますね。もちろん、デロイトが顧客情報を競合他社に売ったことは、許されるべきことではないが、コンサル会社もコンサルを利用する企業も同じ穴の狢(むじな)だということは覚えておいてください」
https://biz-journal.jp/2022/07/post_306797_3.html