山上容疑者 海自時代に自殺未遂、困窮の果てに…兄と妹に死亡保険金残すため 伯父が120分激白

安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、逮捕された無職山上徹也容疑者(41)の伯父(77)が15日、大阪府内でスポニチ本紙などの取材に応じ、母親が教団にのめり込んでいった状況、1億円といわれる献金の内訳などを約2時間にわたり激白した。
入信したのは教団側説明より7年も前の1991年ごろだったと指摘。山上容疑者が2005年に自殺を図った理由を、生活困窮の中、兄妹に死亡保険金を残すためだったと説明した。

伯父は山上容疑者の父親の兄。伯父の説明によると、母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に入信したのは山上容疑者が小学校高学年だった91年ごろで、高額献金を繰り返したことから一家の生活は困窮した。

県内有数の進学校に入り将来を嘱望された山上容疑者だったが、経済的な理由から大学進学を断念。伯父の援助を受けて、公務員を目指す予備校に入った。「極めて頭脳明晰(めいせき)で父親そっくり。性格も抜群。良い思い出しかない」と振り返った。

消防採用試験に落ちて入った海上自衛隊に所属していた05年1月、山上容疑者は自殺未遂騒動を起こす。病室で直接聞いた話として、生活に窮していた兄と妹に自身の死亡保険金を渡すことが自殺の目的だったと明かした。
小児がんを患っていた兄から「食べるものがない」と連絡を受けた伯父が缶詰を送るほど逼迫(ひっぱく)していたという。

山上容疑者は海自の調査にも「教団によって人生がめちゃくちゃになった。兄も妹もめちゃくちゃになっているので、自分の命で払う」などと説明。
母親は当時、教団の本部がある韓国を頻繁に訪問しており、自殺未遂騒動が起きた時も現地に滞在。伯父からの連絡を受けても帰国しなかったという。

この日で事件発生から1週間。山上容疑者はこれまでに「教団を安倍氏が国内に広めたと思って狙った」などと供述。所持金が尽きかけ、7月に入って銃撃事件を実行に移したという趣旨の話もしている。
しかし、これまでの捜査では、積年の恨みの対象としての標的を教団から安倍氏に変更した「飛躍した論理」(捜査関係者)を埋めるようなものは確認されておらず、奈良県警は動機の解明を慎重に進めていく。

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