https://news.yahoo.co.jp/byline/akotomoko/20220716-00305802
植民地統治には非民主的で強権的な側面がある。しかし一方で、香港における経済活動は自由で、文化・芸術活動が盛んに行なわれた。調査報道からゴシップに至るまで、個性豊かなメディアが成長し、多元的な市民社会が発展していった。
そして、香港は英国の植民地でありながら、常に中国への返還を意識し、中国との関係性において自己を捉えざるを得ないという側面もあった。天安門事件で生じた不安、返還が迫る中で進められた英国による漸進的な民主化の影響もあり、2010年代には「民主回帰」論(民主的な体制を持って祖国に復帰する)が出現し、香港人の価値観は急速に変化した。
香港人は香港のために時間と情熱を注ぎ、希望の光が消えかけても、香港を見捨てなかった。しかし、国家安全維持法施行後、香港は激変した。あらゆる領域の市民活動が衰退し、ある者は逮捕・収監され、ある者は海外へ逃れ、ある者は静かに身を潜めざるを得なくなった。