東アフリカから移住したインド系の家系に生まれたスナク氏は、英オックスフォード大学卒業後に米スタンフォード大学でMBAを取得。「インドのビルゲイツ」とされる超大富豪の父を持つ奥さまもスタンフォード大でMBAを取得した起業家という、筋金入りのセレブ一家です。
ゴールドマンサックスやヘッジファンドなどの金融機関で活躍後、2015年に政界入りしたスナク氏は、たった7年で首相の座を狙うまでに躍進。42歳という若さと笑顔はじける「イケメン」ぶりで、「新しい英国の象徴」だと期待されているようです。
ところが、「大富豪」「イケメン」「超エリート」と何拍子もそろい、「非の打ちどころがないスマートさ」がウリのスナク氏が、先日行われた候補者討論会で手痛いミスを犯すというハプニングが起きました。大富豪のMBA保持者が放った予想外の一撃に、英国民も腰を抜かしてしまったようです。
Rishi Sunak roasted for mistaken spelling of 'campaign'
(リシ・スナク氏が「キャンペーン」のスペルを間違えて酷評されている:英ネットメディア)
Rishi Sunak mocked over mis-spelling on Conservative leadership campaign
(リシ・スナク氏が保守党首選でのスペルミスで笑い者になっている:英ITVテレビ)
ハプニングが起きたのは、保守党首選序盤でのオンライン討論会でのこと。自らを「perfectionist」(完璧主義者)と評しながら、堂々と自己アピールを続けるスナク氏の背景に掲げられたスローガンのなかで、肝心の「campaign」(キャンペーン:選挙運動)のスペルが「campiaign」になっていたのです!
しかも、皮肉なことに視聴者に「campiaign」のミススペルがさらされるなか、「事故」に気がつかないスナク氏が、自分のことを「弱点があるとすれば『細かいことに気がつきすぎること』」と宣言するという、まるでコントのような展開が繰り広げられました。
そんな展開に、「I thought it had to be a joke」(冗談かと思った)と人気作家がコメントするなど、まさに「事実は小説よりも奇なり」を証明したハプニング。「スペルの間違いに気がつかないスナク氏が、『能力の高さ』『まじめさ』をアピールしたところで、果たして有権者の心に響いただろうか」という、政治評論家の皮肉が印象的でした。
それでも、自身の「competence」(能力の高さ)をアピールするスナク氏が、予想外のハプニングに黙っているわけはありません。ツイッターを中心にスナク氏の「campiaign事故」が「炎上」するなか、キャンペーンスローガンの「Ready for Rishi」(リシが首相になる準備をせよ)に引っ掛けて「Ready for spellcheck」(スペルチェックの準備をせよ)とツイッターに投稿して応酬。
一時は「#campiaign」のハッシュタグまで出現して盛り上がっていましたが、クールでスマートなスナク氏の身に降りかかった「スペルミス事故」は、ポストジョンソンのレースに影響を与えたのでしょうか?
その後に行われた保守党の議員投票でもスナク氏がトップの座を守っていますが、じつは、「インドのビルゲイツ」と呼ばれる大富豪を義父に持つスナク氏には、妻や自身の脱税疑惑など、スキャンダルの火種を抱えているともいわれています。
スナク氏はジョンソン首相の側近で、コロナの感染拡大によるロックダウン中にパーティーに参加したことも明らかになっています。注目が集まれば集まるほど、批判の声も高まることでしょう。しばらくは、英国政界の動きに注目です。
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