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必要な支援に支出を集中させることが必要
児童手当が見直された背景には、社会保障費(※2)の急激な増加を受けて、支出の中身をしっかり精査する必要性が高まったことなどがあげられます。
少子化対策の拡充が叫ばれる中、子ども・子育て関係の給付も例外ではなく、真に必要な支援に集中すべきであるという議論がなされていました。厚生労働省が行った児童手当の使途等に関する調査では、世帯年収が高いほど、「使う必要がなく残っている」という回答が多くなっています。高所得世帯ほど、児童手当が必ずしも子どものために使われているとは限らないのが現状であり、所得制限を設けることで、浮いた財源を他の必要な分野に充てることができます。このような見直しを実施することで、子ども・子育て支援の政策効果を高めることができると考えられます。
また、2019年10月には幼児教育・保育無償化が始まり、子育てに関する支援がより手厚くなりました。そういった他の制度変更も相まって、今回の児童手当の特例給付の縮小につながりました。これによって、年間約370億円の財源が得られると見込まれています。
約370億円の財源は、待機児童対策に充てられることになっています。共働き世帯の増加などで保育のニーズが高まるもとで、待機児童問題の解消を図るために、政府は2024年度までに待機児童をゼロとすることを目標として約14万人分の保育の受け皿を新たに整備するとしています。
一方で、国として少子化対策に力を入れなければならない中で、児童手当を見直すのはおかしいのではないかという意見もあります。特例給付の縮小により、親の子育てに対する将来への不安が増大してしまうのであれば元も子もありません。また、新型コロナウイルスの感染拡大による将来への不安などから、このところ妊娠を控える動きが広がっており、出生数が大幅に減少することが見込まれています。政府による子育て支援への積極的な姿勢がこれまで以上に明確に示されなければ、少子化の流れは加速する一方でしょう。
引続き、政府による丁寧な制度設計や十分な説明が、国民の理解を得るうえで欠かせません。