韓国東北部の実家での結婚生活は、まさに生き地獄であった。

実家には次男の自室もなく、洋子さんは豚小屋で寝起きをしていた。

洋子さんは片言の英語は話せたが、夫は無学で韓国語以外は話せない。会話も無ければ一家団欒の時間もない。時折、夫が訪ねて来て用が済むと出ていってしまう。

ただただ労働力としての日々。加えて現金収入の為に新聞配達を強要された。

こんな劣悪な環境にも拘わらず不思議な事に、唯一の“より所”は

「統一教会の教書を読む事です」

と語っていた。

外に出る事が許されて、支援団体と接触が出来た。その支援団体によって、洋子さんは夫の入信の本心を知ることになる。

30年ほど前、当時の韓国の農家の次男坊へ嫁ぐ人はほとんどいない。
そんな中、統一教会の関係者から

「入信すれば高学歴の日本人女性と結婚出来る」

と勧誘され、入信したようだと聞かされたのである。

“何故逃げられなかったのか?”と洋子さんに聞くと、

「パスポートを取り上げられており、現金も無い。土地勘もなく自分がいる場所が何処なのかも分からない」

と語っていた。

私は帰国後、洋子さんの消息について八方手を尽くしたが行方は分からないままである。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f090ce5225847524b38462c5e03f10a68d0c7d64