21日、2013年から異次元の大規模緩和政策を二人三脚で進めた安倍晋三元首相の死去後に初めてとなる記者会見に臨んだ、日銀の黒田東彦総裁。「逝去の影響についてコメントは控えるが、使命である物価安定目標の実現を目指して金融政策を実施する考えに変わりはない」として、緩和策の継続姿勢を強調した。
 前回6月の会見以降、利上げを急ぐ米国と低金利を堅持する日本との金利差拡大を背景に、円はドルに対しさらに5円程度安くなった。約24年ぶりの円安ドル高水準が続き、物価高が国民の負担となる中でも、黒田氏はこの日、低金利政策が円安の主因ではないとの発言に一歩踏み込んだ。
 「今の円安は実はドルの独歩高だ。5回利上げした英国も利上げを控えるユーロも、対ドルでは(円と)同じくらい下落している。(日本が)金利をちょこっと上げたら円安が止まるとは到底考えられない」と説明。大幅に金利を引き上げた場合、企業や家計の借り入れ負担が重くなることで景気に悪影響を与えかねないことを強調した。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/191123