ポリコレは脳の認知機能を低下させるようです。

米国のテキサスA&M大学(TAMU)で行われた研究によれば、人間がポリコレ(特定の人々に不快感を与えないための配慮)に基づいた言動を行った場合、脳の認知機能が低下し、私生活の質が棄損される可能性が示されました。
本来、ポリコレは差別や偏見を社会から無くすことを目指していますが、現在では過剰な配慮を求めることが常態化しています。
こうした過剰な配慮の要求が、人々を常に自分の発言に対する「自己検閲」状態にしてしまい、脳に大きな負荷をかけ、精神的な疲弊を引き起こしているというのです。
研究内容の詳細は2022年5月23日に『APA PsyNet』にて掲載されています。

ポリコレは脳機能や私生活にどんな影響を与えるのか?
調査にあたってはまず、被験者を4つのグループにわけ、人種問題や性差別問題などに代表される「物議を醸す問題」について文章を書くように求めました。
(中略)

結果ポリコレを強制されたグループでは他のグループと比べて、反応速度が低下しており、答えるまでにより長い時間を必要とする傾向にあることが判明しました。
研究者たちはこの結果からポリコレを強制されることは、人間の認知資源を枯渇させ集中力や注意力を低下させると結論しました。
しかしより深刻な影響は、私生活のほうに現れていました。
(中略)

結果、他人を重要視する傾向(他者志向)が強い人ほど自分がポリコレによく配慮できたと報告。

しかし配偶者の観察結果をあわせるとポリコレに配慮するほど被験者たちは「精神的な疲労」が大きくなっており、
配偶者からみて「怒りっぽく」「内向的」に変化していると感じられる傾向にあることが判明しました。

同様の結果は別の社会人を対象にした調査でも判明しておりポリコレに配慮するために自分の言動を「自己検閲」した会話を行うと、認知資源が枯渇していたことが示されました。

これらの結果から研究者たちはポリコレに配慮した行いを職場でとることは、私生活の質を悪化させ、配偶者との関係を損なう可能性があると結論しています。
今回の研究によってポリコレへの配慮によって、脳機能の低下と配偶者との私生活が棄損される可能性が示されました。

会社などの経営者や部下を指揮する立場の人間にとってポリコレを奨励することは会社の利益につながる場合がある一方で、
ポリコレ配慮を強制された従業員には認知機能の低下や私生活の質の悪化の懸念が発生します。
研究者たちは「私たちの活動はポリコレにかかわる因果関係をよりよく理解するための第一歩にすぎない」と述べています。
ポリコレがもたらす社会的利益にのみ目を向け、個人が被る不利益を無視しつづければ、社会に歪みが生じるでしょう。
歪みの蓄積が大地震を起こすように、たとえ正しいことでもその活動を広く長期に実現させるためには、多くの人に無理がないように実行する必要があるでしょう。

研究者たちは最後に「今回の研究目的はポリコレがもたらす利益を否定することや、中止を提言するものではなく、ポリコレの理解を進めることである」と述べています。

万人にとっての最善がないことを認め、より効果的な運用を目指すことは、決して理想からの後退ではないはずです。

https://nazology.net/archives/112247