アメリカで“パイプカット”を依頼する男性が急増中。その理由は?(フィガロジャポン) - Yahoo!ニュース
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憲法で定められた権利とされていた中絶。6月末、アメリカの連邦最高裁判所はこれを覆す判決を下した。アメリカの泌尿器科医によればこの判決以降、不妊手術を希望する男性の数が増えていると6月29日付のワシントン・ポスト紙が報じている。

深刻かつ歴史的な判決が下された。6月24日、アメリカの連邦最高裁判所は、1973年以来連邦レベルで人工妊娠中絶の権利を守っていた「ロー対ウェイド判決」を覆した。それ以来、女性にとって根本的な権利を擁護するため、世界中の何百万人もの女性が、アメリカの女性を支持するため声を上げている。男性たちもこの判決に対する問題意識を共有し、中には(俗にパイプカットと呼ばれる)精管切除を行うことでサポートする人もいる。ワシントン・ポスト紙は6月29日付の紙面で、この避妊法の依頼が急増していることを複数の泌尿器科医が同誌に語ったと伝えいている。

泌尿器科医フィリップ・ワースマンはロサンゼルスにある自身のクリニックの混雑具合に驚いている。ここ数週間で精管切除のための診察が300%から400%増えているからだ。アメリカの東海岸でも同様の事態が起きている。この業界で「精管切除の王」と呼ばれるダグ・スタイン医師は、以前一日4~5件の依頼があったところ、いまは平均12~18件あると言う。

「現在、いままでと比べてはるかに多い依頼があります」とダグ・スタイン医師はワシントン・ポスト紙に語った。「すでに精管切除を検討していたが、ロー対ウェイド判決が覆されたことで背中が押されオンラインで申し込むことにした、と多くの人が話しています」。同様にアイオワ州の医師のエスガー・グアリンも、自身のクリニックのサイトへのアクセス量が200%から250%増え、サーバーがダウンしそうになったと語る。

どのような男性が思い切ってこの決断を下すのだろうか。医師たちによると、子どもがいない30歳前後の男性からの依頼が増えているとのことだ。フロリダ州タンパに住む27歳のトマス・フィグエロアもそのひとり。「最高裁判所で判決が下されたつい最近まで、自分の中の小さな声を無視していました。でもあの判決が引き金となり、 “僕は本当に子どもが欲しくないんだ。精管切除をしよう”と決意したのです」とワシントン・ポスト紙に語った。