一般的なAT車において、普通にクルマを運転しているときに「N」レンジを使うことはおそらくないと思いますが、先日タクシーに乗った際、
信号待ちでドライバーがシフトを「N」にいれていました。タクシーといえど、もともとは一般的なAT車と同様のはず。なぜNレンジにする
必要があるのでしょうか。

Nレンジは「けん引の時に使うもの」

タクシードライバーの場合は、エンジンが駆動伝達系から切り離されることで、アイドリングで発生するエンジンの「ブルブル」とした振動が遮断され、
車内が快適になったような気がして、緊張感から解放される、という理由もあるようです。タクシーのようにお客様を運ぶクルマだと、
後席側へ振動を遮断して快適に乗ってもらう、という気配りの一環かもしれません。

ですが、停止時にフットブレーキを踏み続ける行為は、「今はブレーキを踏んでいる」ということを、自らに意識づける効果もあります。
もしも長い渋滞に巻き込まれ、しばらくクルマが動く気配がない場合には、Nではなく、Pレンジを使う方が、誤操作も減ります。
Nレンジは原則、「レッカー車によるけん引の時に使うもの」と、考えたほうがよく、信号待ちでのNレンジは、使わないほうがいい、
というのが筆者の見解です。

文:吉川賢一

https://bestcarweb.jp/feature/column/471851