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Emin Yurumazu (エミンユルマズ)
@yurumazu
米国は過去40年間で中流層を破壊してきました。最終フェーズに入っています。お金持ち優遇の時代が終わります。でないと国が持ちません。同時に米株の強気時代終了。30年間高値を更新できない可能性あります。


世界的なインフレと株価暴落。「エブリシング・バブルの崩壊」が始まった!
https://article.auone.jp/detail/1/2/4/339_4_r_20220726_1658790097265236

現在は崩壊の初動段階
――『エブリシング・バブルの崩壊』が出版されて3か月以上経ちますが、6月までの米国株の株価下落は、予測されていたとおり米国の利上げに沿うものでした。今後はどんな展開になるでしょうか? もし徐々にバブル経済の崩壊が続くとしたら、現在はどの段階でしょうか?

正直なところ、現在の状況は、まだ崩壊の初動段階にすぎません。結論から申し上げれば、米国としてはインフレを抑制するためには、景気を〝クラッシュ〟させるしかないのです。

なぜなら、金融政策や財政政策では、サプライ(需要)そのものをコントロールすることはできないからです。たとえば原油供給量。中国のゼロコロナ政策、ウクライナ戦争の最中、バイデン政権がいくら頑張っても原油供給量は増やせません。

こうした状況下、インフレ対策として米国にできることは、需要を“殺す(引き締める)”しかないわけです。結局、需要と供給のバランスが悪化しているからインフレが起きているのです。たくさんのマネーが少ないモノを追いかけるから当然でしょう。

よって、インフレを抑えるには供給を増やすか、金利を上げて需要を減らすしかない。しかし供給を増やすことは難しいのです。徐々に回復しているとはいえ、コロナ禍によって世界的に分断された供給網の回復は、簡単にはできません。ウクライナ戦争によって、原油や小麦などのコモディティ(原油や小麦などの商品)価格も上昇しました。

私は、米国が取ることのできる方法は、需要を減らすしかないと考えています。英語で言うならば「Demand Destruction(需要の崩壊)」です。

ご存じのとおり、米国のインフレの勢いはすさまじく、2022年6月のCPI(消費者物価指数)は前年同月比の伸び率9.1%でした。この上昇率は第2次石油ショック後の1981年12月以来、40年6ヵ月ぶりの高水準となりました。

米国の場合、CPIが9.1%で天井を打った可能性があるのですが、ピークアウトしてもそれがすぐに2%台、3%台に下がるということではありません。

厄介なのは、たとえば5%、6%ものインフレが長期にわたって続くということです。これほどの物価上昇が続けば、多くの人の生活に多大な影響がでます。従ってFRB(連邦準備制度理事会)は完全にインフレ抑制にフォーカスを定めています。

FRBは景気を“壊し”にきている
――過去にも米国が高インフレに襲われた時期がありましたが、当時のFRBはどういう政策を打って切り抜けを図ったのですか?

2022年5月末にバイデン大統領とパウエルFRB議長の会談が持たれましたが、バイデン大統領は「インフレをなんとかしてほしい」と、ことのほか強い調子でパウエル議長に要請したと言われています。

これについて、いまから40年以上も前の1981年に行われた、レーガン大統領とアラン・ボルカーFRB議長の会談にたとえる米経済メディアが多かったのですが、その当時の米国のインフレは二桁、それも15%台にまで上昇していました。

ボルカーFRB議長は、民間銀行がFRBに預ける準備金の額を(間接的にではなく)直接引き上げることによって、FRBが通貨量を直接コントロールする政策に変更しました。つまり、金利にさわらずに金利を上げるという剛腕をふるったのですね。

すると10%半ばだった金利は81年後半には20%を超えました。空前の高金利にたまらず、米国の景気はハードクラッシュ、ハードランディングしたのです。株価は暴落しましたが、同時にインフレも収まり、CPI上昇率は3%台にまで落ちました。

ボルカー氏が歴代のFRB議長のなかでも特に英雄視されている理由は、稀代のインフレ・ファイターであったからですが、現在のパウエル議長がボルカー氏のように大胆な政策を敷くことはできないでしょう。

なぜなら、いまはゼロ金利から金利が1%台に上がっただけで、米国株がこんなに下がっているからです。仮にボルカー時代のごとく金利20%にすれば、その翌日に米国経済は完全に吹っ飛びます。