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政府と警察組織の対立「最高潮」へ 「警察局」新設巡り=韓国
韓国政府が26日、行政安全部内に「警察局」を新設するための施行令改正案を閣議決定し、政府と警察組織の対立が最高潮に達している。警察局は検察からの捜査権移管による警察の権限肥大化をけん制するための組織。閣議決定を受け、8月2日に発足する。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領はこの日、警察が集団で警察局新設に反発していることを「重大な綱紀の乱れ」と批判した。一方の警察は、30日に予定する全国警察署のチーム長による会議を警察全体の会議に拡大することを決めるなど反対姿勢を強めており、双方の衝突は抑えようもないほど激化している。
◇警察局設置「速戦即決」 警察を統制
閣議決定された改正案は、行政安全部に警察局を設置し、治安監(警視監に相当)や総警(警視に相当)など必要な人員13人を増員することを骨子とする。同部によると、実際には警察12人、一般職の公務員1人が増員されるという。
政府は警察局新設の目的について、「行政安全部長官が警察庁や国家警察委員会などに対する法律上の業務をより体系的に遂行できるようにするため」と説明している。
李祥敏(イ・サンミン)行政安全部長官は5月12日の就任直後、同部内に警察制度改善諮問委員会を設け、警察局の新設を念頭に置いた警察制度改善策を「速戦即決」で進めてきた。検察からの捜査権移管で権限が肥大化する警察を民主的に、正式なルートで統制する方策が必要だとの理由からだった。
警察局は▼警察関連の重要政策や法令の閣議上程▼総警以上の警察公務員に対する任用要請▼自治体傘下の自治警察の支援――といった業務を担う。
◇尹大統領「綱紀の乱れ」 警察は1千人参加の会議予告
警察局が来週発足することになり、警察の統制を巡る現場の警察官と大統領室、行政安全部、警察上層部間の対立は収拾がつかなくなるほど大きくなる見通しだ。
全国の警察署長約190人は今月23日に会議を開き、警察局新設の法令制定手続きを見送るよう求める意見を出していた。これに対し警察庁は会議を主導した警察署長を処分し、会議参加者のうち56人に対する監察に着手した。
尹大統領は26日のぶら下がり取材で、警察の反発に対し「政府が憲法と法に基づき推進する政策と組織改編案に集団で反発することは、重大な綱紀の乱れになり得る」と警告した。前日には「行政安全部と警察庁で必要な措置を取っていくものとみている」と述べるにとどめていたが、この日は明確に立場を示した。
李祥敏氏も前日、警察の反発を巡り「クーデターに準じる状況」と強く批判したのに続き、この日も「付和雷同であり、非常に危険だと考える」と強調した。
警察庁長に内定している尹熙根(ユン・ヒグン)氏も前日、「これ以上、国民を憂慮させてはならない」と述べ、集団行動の自粛を求めた。
この状況に、警察は30日に予定していた警察局に反対する全国警察署チーム長による会議を警察全体の会議に拡大することを決めた。会議開催を提案した警察官は、出席対象者を14万人の警察全体に広げるため、1000人以上が出席すると見込む。
政府は、警察組織に対する統制の必要性を繰り返し訴えて現場の意見を十分に取りまとめないまま警察局の新設を急ぎ、さらには「クーデター」「綱紀の乱れ」といった刺激的な言葉まで使って強硬対応を取ったことで警察の反発を一層あおったとの批判を免れない見通しだ。