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子のない夫婦は「伝統的家族観の否定」、LGBTの権利宣伝は「少子化の原因」 ロシア下院が処罰法案を審議へ
ロシア下院は「夫婦が子を持たない価値観」や、性的少数者(LGBT)の権利について情報を拡散することを禁じる法案を審議する。異性間の婚姻による出産を奨励し人口を増やす狙いだが、さらなる人権侵害につながる恐れが強い。
法案は、プーチン政権下で「体制内野党」と呼ばれる共産党や自由民主党が18日に提出。ボロジン下院議長は28日、「非伝統的な価値観のプロパガンダは禁止されると確信している」と述べ、秋に可決されるとの見通しを示した。
ロシアメディア「ガゼータ・ルー」によると、法案は「夫婦が子を持たずに幸福を追求する」との考え方は「伝統的な家族の価値観の否定」とみなした。また、同性婚や性的少数者の権利を宣伝することは「少子化の原因となり、社会発展に悪影響を与える」として全面的に禁じるとした。
「夫婦が子を持たずに幸せに暮らす価値観」や性的少数者の意見を、公共の場やネット空間で流布した場合、罰金を科す方針だ。
ロシアでは2013年に「同性愛宣伝禁止法」が成立。性的少数者のパレードや虹色旗の掲揚を「青少年に悪影響を与える」との理由で禁じた。今回の法案は同性愛の価値観が「大人を含めて悪影響を与える」と解釈を拡大している。
インタファクス通信によると、プーチン大統領直属の諮問機関「人権評議会」の議長は「言論の自由を守る観点では議論が必要だ」とする一方「人口動態の改善という点では理にかなう」と話している。